3Dプリンターで試作するには?費用・メリット・注意点を解説

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この記事のポイント

3Dプリンターでの試作は金型不要で短納期・低コストに造形でき、形状試作の段階でとくに有効である。強度や精度、材料の制限を踏まえた造形方式の選定と、試作の頻度に応じた外注か自社導入かの見極めが、費用対効果を高める鍵となる。

3Dプリンターで試作するには?費用・メリット・注意点を解説

「3Dプリンターで試作を検討しているが、費用や期間、切削加工との違いがよくわからない」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 3Dプリンターで試作するメリットと注意点
  • 試作にかかる費用と造形方式の選び方
  • 外注と自社導入の比較ポイント

3Dプリンターでの試作は、金型を使わずに短期間・低コストで試作品を作れる方法です。求める形状や精度、数量を見極めることで、無駄なコストや手戻りを防ぎながら開発スピードを高められます。本記事を読み進めることで、自社の試作に3Dプリンターをどう活用すればよいかが見えてきます。

3Dプリンターで試作を行う基礎知識

3Dプリンターでの試作は、3D CADデータをもとに実物の試作品を直接造形する製造方法です。金型や加工用の刃物を用意する必要がなく、データさえあれば形状を確認できる試作品を短期間で手にできます。他社の3Dプリンタの事例でも試作の成果が報告されていますが、ここでは3Dプリンターで試作するとはどういうことか、試作の段階における位置づけ、切削加工や射出成形との違いを整理します。

3Dプリンターで試作するとは

3Dプリンターでの試作とは、3D CADで作成した設計データを一層ずつ積み重ねて造形し、実物大の試作品を作ることです。従来の試作は金型や治具を作ってから加工する工程が必要で、形にするまで数日から数週間かかっていました。3Dプリンターであれば、データをアップロードするだけで造形が始まり、早ければ即日で試作品を受け取れます。デザインや形状の確認をスピーディに繰り返せる点が、3Dプリンターで試作する最大の特徴です。

試作段階における位置づけ

製品開発の試作は、目的に応じていくつかの段階に分かれます。

  • 形状試作:外観やサイズ、部品同士の嵌合を確認する段階
  • 機能試作:実際の製品に近い材料と精度で機能を検証する段階
  • 量産試作:数十から数百個を作り、量産前の最終確認を行う段階

3Dプリンターは、このうち形状試作の段階でとくに強みを発揮します。スピードとコストの面で優れているため、デザインや構造を何度も見直す初期の開発フェーズに向いています。機能試作や量産試作では、求める精度や材料によって製造業での3Dプリンタ活用技術を他の加工方法と使い分けることもあります。

切削加工や射出成形との違い

3Dプリンター、切削加工、射出成形にはそれぞれ異なる特性があります。

項目3Dプリンター切削加工射出成形
金型・治具不要不要な場合が多い必要
対応期間短い(即日〜数日)中程度金型製作に時間がかかる
複雑形状への対応得意形状によっては制限あり金型形状に依存
量産適性少量向き中量向き大量生産向き

射出成形は金型を入れ替えることで連続して量産できる強みがあり、3Dプリンターでの量産と比較しても大量生産に向いています。一方で3Dプリンターは金型が不要なため、少ない個数を早く自由に作ることに適しています。試作段階では、求める数量や精度に応じてこれらの製法を選び分けることが大切です。

3Dプリンターで試作するメリット

3Dプリンターで試作するメリットは、開発スピードとコストの両面に表れます。ここでは代表的な4つのメリットを、実例を交えて紹介します。

①:短期間で試作品を作れる

3Dプリンターは、3D CADデータをもとにそのまま造形できるため、金型や治具の準備が不要です。従来の切削加工や射出成形では試作に1〜2週間かかることも珍しくありませんでしたが、3Dプリンターを導入した企業では、一晩程度で試作品を作れるようになった事例もあります。あるメーカーでは試作にかかる時間が従来比で約90パーセント短縮されました。開発サイクルを早め、何度も設計を見直せる点が大きな利点です。

②:試作コストを抑えられる

3Dプリンターは外注費や金型費がかからないため、3Dプリンターでのコスト削減効果を得やすく、試作コストを大きく抑えられます。ある製造企業の事例では、1回あたりの試作コストが材料費の7千円から1万5千円程度に収まり、人件費を含めても約70パーセントのコストダウンを実現しました。海外の事例でも、金属治具をプラスチック治具に置き換えることで約65パーセントのコスト削減に成功したケースが報告されています。試作を繰り返すほど、この差は大きく積み重なります。

③:複雑な形状を一体で再現できる

3Dプリンターは、内部に複雑な構造を持つ部品でも分割せずに一体で造形できます。切削加工では困難な中空構造やアンダーカット形状も、データ通りにそのまま再現できる点が強みです。組み立て工程を省略できるため、試作品の評価から量産設計への橋渡しがスムーズになります。

④:設計変更に柔軟に対応できる

3Dプリンターは、設計データを修正するだけで次の試作にすぐ反映できます。金型を使う工法では設計変更のたびに金型の作り直しが発生しますが、3Dプリンターであれば追加費用や大幅な納期の遅れを避けられます。デザインやサイズ違いの複数案を並行して検討できるため、手戻りの防止にもつながります。

3Dプリンターで試作する際の注意点とデメリット

3Dプリンターでの試作にはメリットが多い一方、事前に理解しておくべき注意点もあります。強度、材料、精度、追加加工という4つの視点から確認します。

強度や耐久性の限界

3Dプリンターは樹脂や粉末を一層ずつ積み重ねて造形するため、層と層の結合部分が弱くなりやすい構造です。層の方向によって強度に差が出ることもあり、実際の製品と同等の負荷をかける機能試作では注意が必要です。粉末積層焼結方式のように高強度な造形が可能な方式もありますが、金属並みの強度を求める場合は方式や材料の選定を慎重に行う必要があります。

対応できる材料の制限

3Dプリンターで使える材料は、造形方式ごとに種類が限られています。高温・高強度が必要な部品や、特殊な物性を求める試作では、現行の材料ラインアップでは対応しきれない場合があります。求める性能を整理したうえで、その性能を満たせる方式と材料をあらかじめ確認しておくことが大切です。

寸法精度への影響

3Dプリンターの精度は、造形方式の特性、機械と設定、材料、環境という4つの要因が重なり合って決まります。とくに熱を使う造形方式では、冷える過程で収縮や反りが生じ、寸法が変化することがあります。機能試作のように高い寸法精度が求められる場面では、事前に方式ごとの精度傾向を把握し、必要に応じて後加工を組み合わせることが重要です。

追加加工が必要になる場合

3Dプリンターで造形したままの状態では、表面の粗さや積層跡が残ることがあります。見た目や機能を最終製品に近づけたい場合は、研磨や塗装などの後加工が追加で必要になることもあります。以下は試作前に確認しておきたいチェックポイントです。

  • 求める強度・耐久性を満たす造形方式と材料を選んでいるか
  • 想定する使用環境に耐えられる材料か確認したか
  • 必要な寸法精度と後加工の有無を整理したか
  • 造形サイズを必要最小限に抑え、コストを意識しているか

これらを試作の前に確認しておくことで、想定と異なる仕上がりによる手戻りを防げます。

3Dプリンターで試作する費用と造形方式の選び方

3Dプリンターで試作するときは、費用相場と造形方式、素材を正しく把握しておくことが大切です。ここでは費用の目安、代表的な造形方式、素材の選び方、外注と自社導入の比較を紹介します。

試作にかかる費用相場

3Dプリンターの試作費用は、素材やサイズ、造形方式によって変わります。小さな部品であれば数万円程度から試作でき、大きなものや高機能な素材を使う場合は数十万円以上になることもあります。樹脂は比較的安価に試作できる素材ですが、より高い機能を持つエンジニアリングプラスチックは価格が上がる傾向があります。金属3Dプリンターは装置や素材の価格が高く、二次処理の工程も必要になるため、金属素材での試作は高額になりやすい点に注意が必要です。

主な造形方式ごとの特徴

試作でよく使われる造形方式には、それぞれ異なる特徴があります。

造形方式特徴向いている用途
熱溶解積層方式(FDM法)樹脂を熱で溶かして積み重ねる、扱いやすい方式形状確認、簡易的な機能試作
光造形方式(SLA法)液体樹脂を光で硬化させ、滑らかな仕上がりを得られるデザイン重視の試作、精密な形状確認
粉末焼結方式(SLS/MJF法)粉末材料を焼結させ、高い強度を再現できる機能試作、量産に近い評価

用途や求める精度、コストに応じて、これらの方式を比較検討することが重要です。

目的に合った素材の選び方

3Dプリンターの試作で使う素材は、目的によって選び方が変わります。初めて試作する場合はPLAのような扱いやすい素材から始めるとよく、強度を求める場合はPETG、耐熱性が必要な場合はABSやASA、柔軟性が必要な場合はTPUが適しています。精密な部品や強度を重視する試作にはナイロン系の素材が定番として使われています。求める性能とコストのバランスを見ながら、素材を選ぶことが試作の質を左右します。

外注と自社導入の比較

3Dプリンターでの試作は、外注と自社導入のどちらかを選ぶことになります。

比較項目外注自社導入
初期費用不要装置購入費が必要
納期発送時間がかかる造形後すぐに確認できる
コスト構造スポットで依頼できる減価償却費や保守費用が継続的にかかる
向いているケース試作の頻度が少ない場合試作を頻繁に繰り返す場合

試作の頻度が少ない場合は3Dプリンター試作サービスなどの外注が向いており、繰り返し試作を行う場合は自社導入のほうがトータルコストを抑えやすくなります。想定する試作の頻度と予算に応じて、どちらが適しているかを見極めることが大切です。

まとめ:3Dプリンター試作は目的に応じた使い分けが鍵

本記事では、3Dプリンターで試作するとはどういうことか、切削加工や射出成形との違い、メリットと注意点、費用や造形方式の選び方を紹介しました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 3Dプリンターは形状試作の段階でとくに強みを発揮する
  • 短納期とコスト削減が3Dプリンター試作の大きなメリット
  • 強度・精度・材料の制限を踏まえた造形方式の選定が重要

本記事を読んだことで、3Dプリンターでの試作にかかる費用や期間、注意すべき点が具体的に見えてきたのではないでしょうか。求める形状や精度、試作の頻度を整理すれば、外注と自社導入のどちらが自社に合うかも判断しやすくなります。3Dプリンターでの試作を検討している方は、まずは試作したい製品の情報をもとにお気軽にご相談ください。

3Dプリンター試作に関するよくある質問

参考文献

  1. 経済産業省「金属積層造形の普及拡大・活用促進に向けた検討会」
  2. ISO/ASTM 52900:2021 Additive manufacturing — General principles — Fundamentals and vocabulary
  3. NEDO webマガジン「コストは低く信頼性は高く 高速・高精度の電子ビーム金属3Dプリンター」

執筆者

3D With 編集部
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編集部

3D With編集部は、3Dプリンティング・アディティブマニュファクチャリング(AM)業界の最新ニュース、技術解説、市場動向、製品情報をわかりやすく発信する専門編集チームです。国内外の信頼できる情報をもとに、製造業の意思決定に役立つコンテンツを提供しています。

監修者

3D Withリサーチチーム
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リサーチチーム

3D Withリサーチチームは、3Dプリンティング・アディティブマニュファクチャリング(AM)分野の技術情報、市場動向、製品データ、国内外の公開情報を調査・検証する専門チームです。信頼性・正確性を重視し、公開前のコンテンツを専門的な視点から監修しています。

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