3Dプリンターが定着しない原因と対策をわかりやすく徹底解説

導入

この記事のポイント

3Dプリンターの定着不良は、ノズルとベッドの距離、ベッドの水平や汚れ、温度設定やプリント速度が主な原因。ベッド調整と清掃、材料に応じた温度設定、接着剤やラフト・ブリムの併用が定着改善につながる。

3Dプリンターが定着しない原因と対策をわかりやすく徹底解説

「3Dプリンターで造形物がベッドに定着せず、途中で剥がれたり浮いたりしてしまう」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 3Dプリンターが定着しない主な原因
  • ベッドの調整・清掃と温度設定の見直し方
  • 接着剤やラフト・ブリムなど補助手段の使い方

3Dプリンターが定着しない問題は、原因を順序立てて確認すれば、多くの場合は自分で解消できます。

本記事を読み進めることで、原因の切り分け方からベッド調整、温度設定、補助材の活用まで理解でき、印刷の成功率を安定して高められるようになります。

3Dプリンターが定着しない主な原因

3Dプリンターの造形物がベッドに定着しない問題は、FDM方式で最も多い失敗原因のひとつです。第1層がしっかり密着しないと、造形物全体が途中で外れたりズレたりしてしまいます。日頃から3dプリンターのメンテナンスを適切に行っておくことが、これらのトラブルを防ぐ前提となります。

原因は大きく、ノズルとベッドの距離、ベッドの水平や汚れ、温度設定やプリント速度の3つに分けられます。

ノズルとベッドの距離によるもの

ノズルとベッドの距離が離れすぎていると、押し出された樹脂がベッドにしっかり押し付けられず、定着不良の原因になります。ホーミング直後のノズル先端とベッドの隙間は、0.1mm程度が目安とされています。

反対に距離が近すぎる場合も、樹脂がうまく吐出されずに詰まりや定着不良を招くほか、不均一な押し出しによって3dプリンターの反りの原因になるため、適切な距離を保つことが重要です。

ベッドの水平や汚れによるもの

ベッドの水平が取れていないと、場所によってノズルとの距離が変わってしまい、部分的に定着が悪くなります。ベッド全体で均一な距離を保てるよう、水平調整は欠かせません。

また、ベッド表面に手垢や油分が付着していると、樹脂がうまく密着せず、3dプリンターでの失敗に直結します。造形前にアルコールや除菌シートで表面を拭き、脱脂しておくことが基本の対策です。

温度設定やプリント速度によるもの

ベッドの温度が低いと、樹脂が十分に密着する前に冷えて収縮し、剥がれの原因になります。PLAは60度から70度前後、ABSは100度から120度前後が目安です。

1層目のプリント速度が速すぎることも定着不良の一因です。速度を落とすことで、樹脂がベッドに密着する時間を確保し、最終的な3dプリンターの精度を高めることにもつながります。

原因具体的な状態対策の方向性
ノズルとベッドの距離遠すぎる、または近すぎる0.1mm程度を目安に調整
ベッドの水平・汚れ水平が取れていない、油分が付着レベリング調整と清掃
温度・速度ベッド温度が低い、1層目が速すぎる材料に応じた温度設定と速度調整

ベッドの調整と清掃で定着を改善する方法

定着不良の多くは、ベッドの水平調整と清掃を見直すだけで改善します。これは、造形後に3dプリンターの表面処理を行う前の基本的な段取りとしても極めて重要です。特別な工具がなくても取り組める対策から確認していきましょう。

ここではベッドの水平調整の手順、ノズルとベッドの距離調整、ベッド表面の清掃方法を紹介します。

ベッドの水平調整の手順

もっとも一般的な方法が、コピー用紙を使う「紙一枚法」です。まずノズルを100度前後まで加熱し、ホーム位置に移動させます。

ベッドの四隅と中央にノズルを手動で移動させながら、コピー用紙を挟んで軽い抵抗を感じる程度に調整ネジを回します。四隅それぞれで同じ手順を繰り返し、どの位置でも同じ抵抗感になるまで調整することが、均一な定着につながります。

ノズルとベッドの距離調整

水平調整と合わせて、ノズル先端とベッドの距離そのものも確認します。ホーミング直後の隙間は0.1mm程度、つまりコピー用紙一枚がわずかに引っかかる程度が目安です。

距離が離れすぎている場合は樹脂がベッドに届きにくくなり、近すぎる場合は樹脂の吐出が妨げられます。テスト印刷を行い、1層目の仕上がりを見ながら微調整すると精度が上がります。

ベッド表面の清掃方法

ベッド表面に手垢や油分が付着していると、樹脂がうまく密着しません。印刷前にイソプロピルアルコールを含ませた布やアルコール除菌シートで、ベッド全体を拭き取っておきます。

パーツクリーナーを使う場合も、脱脂効果のあるものを選び、拭き取った後は完全に乾かしてから印刷を始めることがポイントです。

温度とプリント速度を見直して定着を高める方法

ベッドの調整だけで改善しない場合、温度設定やプリント速度が原因になっていることがあります。フィラメントの種類に合わせた設定を見直すことが大切です。

ここではベッド温度とノズル温度の目安、周辺温度と冷却設定の見直し、1層目のプリント速度調整について紹介します。

ベッド温度とノズル温度の目安

ベッド温度は、PLAでは50度から70度、ABSでは80度から110度が目安です。温度が低すぎると、樹脂が十分に密着する前に冷えて収縮し、剥がれの原因になります。

ノズル温度も材料ごとの推奨範囲を守ることが重要で、低すぎると樹脂がうまく溶けずに定着不良につながります。反りやすい材料を使う場合は、推奨温度より5度ほど高めに設定すると安定しやすくなります。

材料ベッド温度の目安
PLA50〜70度
ABS80〜110度
PETG50〜100度
TPU30〜60度

周辺温度と冷却設定の見直し

室温も定着に影響します。室温はおおむね20度から25度の範囲を保つことが推奨されています。室温が低いと造形物が急速に冷えて収縮し、剥がれや反りにつながりやすくなります。

冷却ファンは、最初の数層だけ弱めるか無効にすることで、樹脂がベッドに密着する前に急激に冷えるのを防げます。ABSのように反りやすい材料では、造形全体を通してファンを弱めに設定することも効果的です。

1層目のプリント速度調整

1層目のプリント速度が速すぎると、樹脂がベッドに密着する時間が足りず、定着不良を招きます。1層目だけ速度を落とす設定にすることで、樹脂がしっかりベッドに押し付けられる時間を確保できます。

スライサーソフトの多くは、1層目の速度だけを個別に設定できる項目を備えているため、通常速度の半分程度を目安に調整してみてください。

接着剤や補助材で定着不良を解消する方法

ベッドの調整や温度設定を見直しても定着が改善しない場合は、接着剤や造形上の補助機能を組み合わせる方法が有効です。複数の対策を組み合わせることで、より安定した定着が期待できます。

ここではスティックのりや専用接着剤の活用、ラフト・ブリムの活用、ビルドプレートシートやガラスベッドの活用について紹介します。

スティックのりや専用接着剤の活用

スティックのりをベッド表面に薄く塗ることで、定着力を高められます。ムラなく塗布できるタイプを選ぶと、仕上がりへの影響を抑えられます。

3Dプリント専用に開発された接着剤も市販されており、造形中の熱で定着力が高まり、冷えると剥がしやすくなる製品もあります。塗布前には、必ずベッド表面をアルコールなどで清掃し、油分を取り除いておくことが効果を引き出すポイントです。

ラフト・ブリムの活用

ラフトは、造形物の下に土台となる層を追加する機能です。ベッドの水平がわずかにずれている場合でも、ラフトがその歪みを吸収してくれるため、定着の安定につながります。

ブリムは、造形物の周囲に薄い層を広げて接地面積を増やす機能です。ラフトほど厚みを作らないため、材料の消費を抑えつつ剥がれを防ぎたい場合に向いています。細長い形状や接地面が小さいモデルでは、ブリムの活用が特に効果的です。

ビルドプレートシートやガラスベッドの活用

専用のビルドプレートシートは、表面に微細な凹凸があり、樹脂との接地面積を増やして定着力を高めます。造形後は冷めると剥がしやすくなる製品が多く、作業効率にもつながります。

ガラスベッドも人気の高い選択肢です。表面が平滑で汚れが付きにくく、定着力と剥がしやすさのバランスに優れています。ベッド表面を紙ヤスリで軽くこすり、微細な粗さを作ることで、密着性をさらに高められます。

まとめ:3Dプリンターの定着しない問題は原因の切り分けが解決の近道

本記事では、3Dプリンターが定着しない主な原因、ベッドの調整と清掃、温度とプリント速度の見直し、接着剤や補助材の活用方法を紹介しました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 定着不良はノズル距離・ベッド状態・温度設定のいずれかに原因がある
  • ベッドの水平調整と清掃だけで改善するケースも多い
  • 改善しない場合は接着剤やラフト・ブリムを組み合わせて対応する

原因を一つずつ確認しながら対策を重ねることで、3Dプリンターの定着しない問題を解消し、安定した造形を実現できます。定着不良の改善や業務での歩留まり向上について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。

3Dプリンターが定着しないことに関するよくある質問

参考文献

  1. Prusa Knowledge Base「First layer issues」
  2. FLASHFORGE公式「フィラメントがプラットフォームに定着しない」
  3. 経済産業省「金属積層造形の普及拡大・活用促進に向けた検討会」

執筆者

3D With 編集部
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編集部

3D With編集部は、3Dプリンティング・アディティブマニュファクチャリング(AM)業界の最新ニュース、技術解説、市場動向、製品情報をわかりやすく発信する専門編集チームです。国内外の信頼できる情報をもとに、製造業の意思決定に役立つコンテンツを提供しています。

監修者

3D Withリサーチチーム
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リサーチチーム

3D Withリサーチチームは、3Dプリンティング・アディティブマニュファクチャリング(AM)分野の技術情報、市場動向、製品データ、国内外の公開情報を調査・検証する専門チームです。信頼性・正確性を重視し、公開前のコンテンツを専門的な視点から監修しています。

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