3Dプリンター導入の費用と選び方・失敗しない進め方まで解説

導入

この記事のポイント

3Dプリンター導入は試作の内製化やコスト削減に効果があり、費用は造形方式によりFDM方式の30万円から金属方式の3000万円以上まで幅がある。ものづくり補助金で負担を軽減でき、導入目的の明確化と運用体制づくりが成功の鍵になる。

3Dプリンター導入の費用と選び方・失敗しない進め方まで解説

「3Dプリンターを導入したいけれど、費用や選び方がわからず、本当に効果が出るのか不安」。こうした声はよく聞かれます。

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 3Dプリンター導入のメリットと注意点
  • 導入にかかる費用の目安と補助金の活用法
  • 失敗しない選び方と導入の進め方

3Dプリンターの導入は、目的を明確にして費用と選び方を押さえれば、無理なく進められます。

費用対効果や運用への不安も、進め方を知ることで解消できます。ぜひ最後まで読み進めてください。

3Dプリンター導入で得られるメリットと注意点

3Dプリンターの導入を検討するときは、得られるメリットと注意点の両方を知っておくことが大切です。試作の内製化による効果は大きい一方、強度や生産量には向き不向きがあります。ここでは判断材料になる要点を整理します。

導入で得られる主なメリット

3Dプリンター導入の最大のメリットは、試作や部品製作を社内で完結できる点にあります。3D CADデータから直接造形できるため、これまで外注していた工程を内製化でき、外注費や打ち合わせの手間を減らせます。

開発スピードの向上も見逃せません。試作品をすぐに確認して修正できるため、設計から検証までのサイクルが短くなり、試作回数の削減にもつながります。

金型や治具を必要なときに製作できるため、在庫スペースやストックのコストも抑えられます。導入で得られる主な効果は次のとおりです。

  • 試作や部品製作の内製化による外注費の削減
  • 設計から検証までのリードタイム短縮
  • 金型や治具の在庫スペースとコストの削減
  • 従来は難しかった複雑な形状の一体成形

押さえておきたいデメリット

一方で、3Dプリンターには不向きな用途もあります。1つの造形に時間がかかり、材料費もかさむため、同じ製品を大量に作る量産には向いていません。

強度や耐久性の面にも注意が必要です。材料を一層ずつ積み重ねる仕組み上、層と層の結合部分が弱くなりやすく、用途によっては後加工や別工法との併用を検討します。メリットとデメリットを整理すると次のようになります。

観点メリット注意点
生産量多品種少量生産に強い大量生産には不向き
期間試作を数時間から数日に短縮大型造形は時間がかかる
強度複雑形状を一体成形できる積層方向の強度が弱くなりやすい
コスト金型が不要で小ロットも低コスト材料費や本体価格は用途で変動

導入効果を高めるポイント

導入効果を高めるには、3Dプリンターが得意とする用途に絞って使うことがポイントです。多品種少量生産や試作、治具製作といった場面で強みを発揮します。

量産や高い強度が求められる部品では、無理に3Dプリンターだけで対応せず、切削加工や射出成形と組み合わせる判断も欠かせません。自社の用途を見極めることで、導入後の失敗を防ぎやすくなります。

3Dプリンター導入にかかる費用の目安

導入にあたって3Dプリンターの値段を検討する際は、本体価格だけでなく材料費や保守費まで含めて考えることが大切です。造形方式によって価格帯が大きく変わり、公的な補助金で負担を軽くする方法もあります。ここでは費用の目安を項目ごとに整理します。

造形方式別の本体価格の相場

3Dプリンターの本体価格は、造形方式によって数万円から1億円以上まで大きく開きがあります。近年では個人でも購入しやすい低価格な3Dプリンターから、高価な産業用モデルまで、用途に応じて選ぶことが基本です。

業務での使用を想定した業務用3Dプリンターの価格相場は次のとおりです。あくまで目安のため、機種やメーカーによって幅があります。

造形方式特徴業務用の価格相場
FDM方式樹脂を溶かして積層する30万円から500万円程度
光造形方式光で樹脂を硬化させる50万円から2000万円程度
金属方式金属粉末をレーザーで焼結する3000万円以上になる場合もある

材料費や保守などのランニングコスト

本体を導入した後も、材料費や保守費といったランニングコストがかかります。造形方式ごとに使う材料が異なるため、コストの見積もりには材料の種類も影響します。

FDM方式のフィラメントは比較的安価ですが、高強度な材料になると1キログラムあたり数万円以上になることもあります。光造形方式のレジンは500グラムで1000円台から、用途特化の製品では1リットルあたり数万円まで幅があります。本体価格に加えて、設置工事や付帯設備、年間の保守費用も予算に含めておくことが欠かせません。

ものづくり補助金を使った費用の軽減

負担を軽減して3Dプリンター導入で使える補助金として、代表的なものがものづくり補助金です。中小企業や小規模事業者による生産性向上のための設備投資を対象とした、国の補助制度です。

2026年の製品・サービス高付加価値化枠では、補助上限額が従業員規模に応じて750万円から2500万円に設定されています。補助率は原則2分の1で、小規模事業者などは3分の2が適用される場合もあります。3Dプリンター本体は機械装置費として対象になり、技術導入費や専門家経費も補助の対象です。申請には賃上げなどの要件があるため、事前に公募要領を確認しておくことが大切です。

導入前に決めておきたい3Dプリンターの選び方

3Dプリンターの選び方は、導入する目的をはっきりさせるところから始まります。目的が決まれば、必要な造形方式や材料、機種が自然と絞り込めます。ここでは選定の順番に沿ってポイントを紹介します。

導入する目的を明確にする

まず決めておきたいのは、3Dプリンターで何を作りたいかという目的です。目的があいまいなまま導入すると、性能が過剰だったり用途に合わなかったりして、投資が無駄になりやすくなります。

試作品の形状確認なのか、実際に使う部品の製造なのか、治具の製作なのかによって、適した機種は変わります。作りたいものの大きさや精度、想定する数量を整理しておくことが、失敗を防ぐ第一歩です。

造形方式と材料を選ぶ

目的が固まったら、造形方式と材料を選びます。造形方式によって、使える材料や造形精度、強度が変わるためです。

主な造形方式には、樹脂を溶かして積層するFDM方式、光で樹脂を硬化させる光造形方式、粉末にレーザーを当てて焼結する粉末焼結方式があります。それぞれの特徴は次のとおりです。

造形方式得意なことよく使う材料
FDM方式手頃な価格で耐久性のある部品を作るABS樹脂やPLA樹脂
光造形方式精度が高く表面のなめらかな造形光硬化性のレジン
粉末焼結方式強度の高い部品や金属の造形ナイロンや金属粉末

強度が求められる部品にはABS樹脂、環境負荷を抑えたい用途には植物由来のPLA樹脂を選ぶなど、用途に応じた材料選びが大切です。

機種とメーカーを選ぶ

造形方式が決まったら、その中で作りたいものに合う機種を選びます。造形サイズや精度、設置環境やランニングコストを比較して、自社の条件に合う一台を見極めます。

メーカーや代理店の選定も重要なポイントです。複数の製品を扱うマルチベンダーの代理店なら、機種の比較や見積もりを効率よく進められます。導入後のサポート体制やトラブル対応まで確認しておくと、運用を始めてからも安心です。

3Dプリンター導入を成功させる進め方

3Dプリンター導入を成功させるには、機種を選ぶだけでなく、運用の体制づくりまで見据えて進めることが大切です。担当者を決め、内製と外注を使い分け、小さく試してから広げる流れが基本になります。ここでは導入を軌道に乗せる進め方を紹介します。

運用体制と担当者を決める

導入を進める前に、運用の責任者や担当部門を決めておくことが欠かせません。責任の所在があいまいなまま導入すると、目的がぶれたり活用が進まなかったりする原因になります。

複数の部署で使う場合は、部署間の役割分担も決めておきます。あわせて3Dプリンターを扱える人材の確保や育成も必要です。本体の操作やソフトの使い方、日常のメンテナンス方法を複数の担当者が習得し、社内で知識を共有できる体制を整えることが理想です。

内製と外部サービスを使い分ける

すべてを自社で抱え込む必要はありません。自社に3Dプリンターがなくても、出力サービスや3Dプリンターのレンタルを使えば、必要なときだけ機材や造形を利用できます。

見積もりの段階から専門スタッフに相談できるため、初めて使う企業でも進めやすい点が特長です。日常的に使う造形は内製し、自社の設備で対応できない大型品や特殊な材料だけを外注するといった使い分けが、コストと品質のバランスにつながります。

小さく試してから本格導入する

いきなり高価な機種を導入するのではなく、小さく試してから本格導入する進め方も有効です。まず外部サービスや手頃な機種で効果を確かめ、社内にノウハウをためてから設備を広げていきます。

この進め方なら、初期投資を抑えながら運用の課題を早い段階でつかめます。導入の負担を軽くしたい場合は、ものづくり補助金などの公的支援もあわせて検討することで、無理のない本格導入につなげられます。

まとめ:3Dプリンター導入は目的の明確化から始まる

本記事では、3Dプリンター導入のメリットと注意点、かかる費用の目安、失敗しない選び方から導入の進め方までを解説しました。試作の内製化やコスト削減といった効果が期待できる一方、強度や量産には向き不向きがあり、目的に合った使い方が大切です。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 3Dプリンター導入は試作の内製化やコスト削減に効果がある
  • 費用は造形方式で変わり、ものづくり補助金で負担を軽減できる
  • 導入目的の明確化と運用体制づくりが成功の鍵になる

導入する目的をはっきりさせ、費用や選び方を押さえれば、自社に合った3Dプリンターの活用が見えてきます。まずは小さく試すところから、無理のない導入を始めてみてください。

3Dプリンターの導入についてさらに詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

3Dプリンター導入に関するよくある質問

参考文献

  1. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公式ホームページ
  2. 中小企業庁「中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発」予算資料
  3. 経済産業省「金属積層造形の普及拡大・活用促進に向けた検討会」

執筆者

3D With 編集部
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編集部

3D With編集部は、3Dプリンティング・アディティブマニュファクチャリング(AM)業界の最新ニュース、技術解説、市場動向、製品情報をわかりやすく発信する専門編集チームです。国内外の信頼できる情報をもとに、製造業の意思決定に役立つコンテンツを提供しています。

監修者

3D Withリサーチチーム
3D Withリサーチチーム

リサーチチーム

3D Withリサーチチームは、3Dプリンティング・アディティブマニュファクチャリング(AM)分野の技術情報、市場動向、製品データ、国内外の公開情報を調査・検証する専門チームです。信頼性・正確性を重視し、公開前のコンテンツを専門的な視点から監修しています。

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